まつるシナプス(小池)
はじめまして。
見てくださってありがとうございます。
私からは、このライブで演奏する
第2部「まつるシナプス」について。
「まつる」というのは、
そのままですが「祀る=祭」から来ており、
シナプスは神経どうしを接続し、情報伝達を行う機構を指しています。
友人、家族、先祖だけでなく、虫や動物まで
さまざまな存在が寄り合う宗教空間としての祭、特別な時間としての祭のなかで、
シナプスがあらゆる感覚をつなぎ合わせる。
そうしたイメージから、この題をつけました。
「祭」は各都道府県・地域ごとに独特なかたちを持ちます。
この言葉からは、それぞれが見たことのある「村」や「里」などの場を連想していただくと良いと思います。
一方シナプスは、人間の神経機構において中心的な役割を果たす、
均質化された情報の中心としてのネットワークに例えられます。
そうした二項を結びつけて、
超高速の情報社会(=今)と、アナログな鎮魂の場(=過去)としての祭、
両方がつながった状況を想像できればな、と考えています。
いくつかの楽曲で構成される「まつるシナプス」は、
多かれ少なかれ、アンビエント・ミュージックの形式から影響を受けています。
アンビエント・ミュージック(=環境音楽)というのは、
(大雑把に言えば)メロディやリズム、ハーモニー以上に、音の触感(音色)を重視したジャンルです。
あるひとは音の中に取り込まれ、
自分が今、曲のどの部分を聴いているのかわからなくなる(ロストする)。
ある人は集中して聴き、
ある人は考えごとをしながら聞き流す。
アンビエントにはそういった寛容さと、
受け手による解釈の可能性があります。
話を戻すと、
「まつるシナプス」において流れる音には、
わかりやすい楽曲のかたちを持ったものもあれば、
アンビエント的な、取り止めのないような音もあります。
決まりきった楽想やエモーション、情緒に当てはめた音楽ではなく、
その場で演奏者、鑑賞者が感じられることを感じ取って反応する
「空間」として、アンビエントが機能します。
これによって、(祭祀場というと大仰ですが)ある種の非現実な音の空間が作れれば、理想的です。
次の記事では、
環境音楽について、もう少し踏み込んでお話をしたいと思います。
ありがとうございました。(小池知嵯)
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